シミの種類について
皆様こんにちは。
肌の青空クリニック院長の山内輝夫です。
本日はしみについてお話ししたいと思います。
一般的にシミとは、顔などにできる褐色の色素沈着のことを言います。これは肌の特定の部分にメラニン色素が過剰に蓄積されることにより、周囲の肌色よりも濃く見えることを指します。
シミにはいくつか種類があり、それぞれに合った治療のアプローチが必要です。加齢とともに色々な種類の色素斑が混在してくることを加齢性混合型色素斑(aging complex pigmentation: ACP)と言われ、段々とその治療難易度は上がっていきます。
今回はそれぞれのシミの特徴と、その治療法などを解説していきたいと思います。
①老人性色素斑

長期の紫外線曝露によって生じます。メラノサイトというメラニン色素を産生する細胞の機能が亢進したり、またケラチノサイトという肌の細胞がダメージを受けてメラニンを受け取りやすい状態になっていることで段々と現れてきます。
顔、手の甲、腕などに生じる比較的境界がはっきりとした色素斑で、大きいものは大斑型、小さいものは小斑型、また色のむらがある肌に大小の色素斑が混在しているものを白斑黒皮症型と呼びます。
少しマニアックな話ですが、病理組織学的にみると表皮稜が蕾状に延長していることが特徴で(budding)、ちょっと可愛らしい感じです。
治療はQスイッチルビーレーザーやピコレーザーといったようなレーザー治療が一般的ですが、一過性の炎症後色素沈着(Post-inflammatory Hyperpigmentation: PIH)、つまり一時的にシミが濃くなってしまうことがあり注意が必要です。
最近では、このPIHを減らすべく、様々なレーザーが開発されてきています。また病変によっては IPL(intence pulsed light)などでも複数回の施術により改善していくことが可能です。
②雀卵斑

一般的に「そばかす」として知られているのがこの雀卵斑です。症状としては鼻を中心に頬骨の高い位置に3㎜程度の小さな斑点が散らばって現れるのが特徴です。こちらも紫外線が原因で生じますが、家族内発症が多く、一部はメラノコルチン1受容体(MC1R)の遺伝子多型が発症に関与していると言われております。
余談にはなりますが、このMC1Rとはどんな役割をしているのでしょうか?少しかいつまんでお話し致します。
まずメラニンには黒~褐色で肌を紫外線から守る効果の高い「ユーメラニン」と黄色~赤色で紫外線防御効果の低い「フェオメラニン」の2種類があります。MC1Rはこのメラニンを産生するメラノサイトのスイッチのようなもので、スイッチがonになるとユーメラニンが多く作られ、逆にoffになるとフェオメラニンが多く作られます。
雀卵斑ができやすい方は、MC1R遺伝子のスイッチ機能が弱いタイプの多型がみられる事が多いため、ユーメラニンを上手く作れません。その結果、紫外線の影響でフェオメラニンが不均一に作られ、雀卵斑ができるのです。白人にそばかすが多いのは、このスイッチ機能が弱いMC1R遺伝子多型を持つ人の割合が非常に高いためなんですね。
気になる治療法は、老人性色素斑と同様にレーザーやIPLが一般的ですが、雀卵斑は比較的IPLでも取りやすい印象です。レーザーのダウンタイムが気になる方はIPLで治療されるのもよいのではないでしょうか。ただし再発しやすい病態であることから、しっかり紫外線対策をしていただくのも重要となります。
③肝斑

さて、一番厄介とも言えるのがこちらです。病態はいまだ完全には解明されておりませんが、メラノサイトが暴走(過剰に活性化)し、メラニンを産生しまくっている!というところがメインになるでしょう。
メラノサイトを活性化させている原因は複数あり、ホルモンバランス、紫外線、物理刺激などが挙げられます。ホルモンバランスでは特に女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが関与しており、エストロゲンがメラニンの生成を促進する複数の酵素(チロシシナーゼ)の活性を高め、プロゲステロンもエストロゲンと協調してメラニンの生成を促す作用があると言われています。妊娠中や経口避妊薬(ピル)の服用中に悪化しやすいのはこのためなんですね。
また紫外線は、①メラノサイトを直接刺激し肌を守るために活性化、②ケラチノサイトにはサイトカインという炎症の引き金となる伝達物質の放出を促し、③皮膚の血管を拡張させ、新しい血管を作る血管内皮増殖因子(VEGF)を放出させます。サイトカインやVEGFはメラノサイトの活性化に寄与しており、メラノサイト、ケラチノサイト、血管のそれぞれが炎症の悪循環を作り上げる密接な関係を築いています。
物理刺激によってもケラチノサイトからサイトカインが放出され、メラノサイトが活性化していきます。コロナ禍でマスクをする人口が増えた際に、肝斑の患者も増えたと巷では言われておりました。
他にも遺伝的な要因やストレス(ストレスによるホルモンバランスの乱れなど)によって肝斑は引き起こされると言われております。
このように様々な要因が複雑に作用しあって生じるのが肝斑のため、診断も難しいです。
一般的には両頬を主としたハケで塗ったような褐色斑で、眼瞼周囲には比較的はっきりした境界がみられるものの、全体的には境界がはっきりしないことも多く、くすみに近い状態でみられることが多いです。「これ」と指させるものは老人性色素斑などで、「このへん」と表現されるものが肝斑な印象です。
治療法は上記の病態から、目に見える色素を除去することよりもメラノサイトの活性を抑えることを意識した治療が大事になってきます。代表的なものがトラネキサム酸で、抗プラスミン作用といってメラノサイトやケラチノサイト、血管に作用して炎症を起こすプラスミンを抑制することによって悪循環を断ち切ってくれる作用があります。このトラネキサム酸は内服、外用、またイオン導入などで肌に取り入れる方法があります。
また最近では線維芽細胞という皮膚の深いところ(真皮)に存在し、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を作り出してくれる細胞の衰えもメラノサイトの活性化に繋がってしまうことわかってきました。結局お肌の状態が悪くなってくると、より紫外線などの刺激から身を守るためにメラノサイトが頑張ってしまう、ということなんですね。
線維芽細胞を若返らせるような治療では注入系(ECM製剤と言われる線維芽細胞が働きやすい環境を整えるリフォーム剤のような薬剤など)やエネルギーデバイス(超音波や高周波などの熱を使用する機械)の治療が見直されてきております。実はたるみやしわ改善として使われていた治療が、肝斑にも効いてくるのは驚きです。
このようにしっかりとメラノサイトの活性化を抑え込んだ上で、すでに現れてしまっている色素に対しては、ケミカルピーリングなどで早く皮膚の外に色素を排出していったり、トーニングといってレーザーを低出力で当てていく施術などで改善していくとよいでしょう。ただし、トーニングは頻回に連続して受けると色が抜けた部分(色素脱失斑)が生じるリスクがあるので注意が必要です。
他にもシミの種類はいくつかありますが、段々とマニアックなものになってきますので、またの機会に解説していけたらと思います。
肌の青空クリニックでは美顔レーザー・シミ取りレーザー・IPLなど様々なメニューを取り揃えています。
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最後までお読みいただきましてありがとうございました。
