ボトックスについて(汗止め)
皆様こんにちは。
肌の青空クリニック院長の山内輝夫です。
本日は前回説明しきれなかった、ボトックス注射についての続きのお話をしていこうと思います。
前回はボトックスの作用として、表情筋の動きを抑えて、表情による皺を目立たなくする(表情皺→固定皺へと刻まれた皺になってしまうのを予防する)作用について主にご説明させていただきました。
今回はボトックスのまた異なる効果である、部分痩せの効果( 筋肉の動きを止めて退化させることによる)、汗止めの効果についてご説明させていただこうと思います。
ボトックスの「部分痩せ」効果について
部分痩せ
まず部分痩せの効果についてですが、こちらは筋肉を麻痺させることによって、廃用による一時的な筋委縮の効果を出すというものです。筋トレでマッチョになった筋肉が、筋トレをおさぼりすると元のサイズに戻ってしまったり、長期の入院により体を動かさなくなることによって細くなってしまうのと一緒です。
代表的な部位で言うと、エラや下腿のボトックスなどかと思います(その他、肩や二の腕、太ももなどがあります)。特にエラは手軽に小顔の効果が出せることから、人気のボトックスの1つです。
エラボトックス
エラのボトックスについて少し詳しく解説させていただきます。
エラボトックスは咬筋という噛む際に収縮する筋肉に効かせるボトックスになります。顎の左右両端にある筋肉で、グッと食いしばった際にぽこっと膨らむ筋肉に該当します。比較的厚みのある筋肉のため、痩せた分だけフェイスラインがシャープになっていきます。小顔になるために骨を削るなどではなく、このような簡易的な注射で効果が出せるのは大変画期的です!また、食いしばりや歯ぎしりのような症状に悩まされている方にも有用で、非常に満足度の高い施術かと思います。
エラボトックスの注意点
しかし、いくつか注意点もございます。
まず、すぐに効果が出るわけではなく、痩せてくるまでは1か月くらいの期間を要します(早い方だと2週間くらいで効果実感致しますが、たったの数日では筋肉はそこまで痩せません)。また、効果も一時的なものになりますので、最初は3~4か月に1回くらい、だいぶ痩せてきたら半年~1年に1回くらいのメンテナンスが必要になります。
また、咬筋の近くには笑筋や大頬骨筋といった、笑うために必要な筋肉が存在しています。こちらの筋肉までボトックスが効いてしまうと、笑いづらくなったり、表情の左右差などが生じてしまいます。
さらに咬筋の中でも効いている部位とあまり効いてない部位で差が生じてしまうと、噛んだ時に咬筋の一部分がぽこっと膨れるといった現象が生じます(リスが食べ物をほっぺの中に貯めこんでいるような見た目です)。これはボトックスがあまり効いていない部分の筋肉が噛んだ時に収縮し、ボトックスが効いていて弛緩している筋肉が圧排されることにより生じるものです。このようなボトックスのバランスが崩れて生じる現象のことをボツリヌスリバランス現象と言います。
最後に、筋肉が瘦せたことによりたるみやコケがひどくなる可能性があるということです。
元々顎下のたるみや頬コケなどがない方はあまり気にする程ではないかと思いますが、上記がある方は咬筋のボリュームが減ることによって上記の症状が目立ってきてしまう可能性がありますので、施術を受ける前によく担当の医師と相談されると良いかと思います。
少し注意点を書かせていただきましたが、合併症リスクは頻度として高いものではなく(医師の技量にもよるかとは思いますが)、クリティカルなものもございません。気軽にできる小顔治療として、これからもボトックスは使われ続けるでしょう。
ボトックスの「汗止め」効果について
汗止め
次に汗止めとしてのボトックスをご紹介させていただきたいと思います。
汗もアセチルコリンによって分泌されるものになりますので、こちらをブロックするボトックスは汗止めの効果もあります。代表的な部位では、脇のボトックスかと思います(その他、手の平、足の裏、頭皮などがあります)。
脇のボトックス
今度は脇のボトックスについて少し詳しく解説していきます。
こちらも注射によって簡易に脇の汗を止める画期的なものです!特に汗のかきやすい夏場などは重宝致します。また汗止めのボトックスは、筋肉に効かせるボトックスよりもほんのちょっぴり長持ちする印象です(長いと半年くらいもちます)。暑い時期のみ必要な方でしたら、年に1回のメンテナンスで問題ないでしょう。
こちらも注意点はいくつかございます。
まず、筋肉の層とは異なり皮膚の層に細かく回数多く注射していくので、痛いです。痛みに弱い方は麻酔クリームや笑気麻酔の使用を検討しましょう。注射やその痛みに対して抵抗があるという方は、保険診療でエクロックゲル®(塗り薬)やラピフォートワイプ®(拭き取りシート)を試してみるのもよいかと思います。効果に関してはボトックスに軍配が上がりますが、保険診療なのでコストも抑えられるメリットがあります(ただし、薬がついた手で目を擦ったりすると光が眩しく感じたりする副作用の注意が必要です)。余談にはなりますが、手の平、足の裏にも保険診療でアポハイドローション®という塗り薬があります。手の平、足の裏のボトックスは相当疼痛が強いことから(ブロック麻酔が検討されるレベルです)、まずはアポハイドローション®からお試しいただくことをお勧め致します。
汗の臭いについて
次に臭いに関しては、ボトックスで劇的に改善するというものではございません。
脇の下にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺という2種類の汗腺(汗の工場みたいな組織)が存在致します。アセチルコリンによって調整されているのはエクリン汗腺であり、アポクリン汗腺は他の物質(アドレナリンなど)によって調整されているため、ボトックスが効きません。独特な臭いを醸し出すのはアポクリン汗腺から分泌される汗のため、臭いの元を絶つには別の手段が必要になります(外科的に汗腺を摘除する方法やミラドライ®のような汗腺を破壊するデバイス治療)。ただし、完全に効かないというわけでもなく、汗腺の多くはエクリン汗腺で構成されており、汗の分泌のほとんどが抑えられることにより、臭いも気にならなくなったという方も大勢いらっしゃいます。アポクリン汗腺から分泌される汗の臭いが気になっていたというよりかは、汗の分泌が皮膚の常在菌のバランスなどに影響を与えていたからかと思います(マイクロバイオームの変化)。
こちらも注意点などは書かせていただきましたが、これなしでは生きていけない!と仰る方も多く、非常に満足度の高い施術の1つかと思います。
いかがでしたでしょうか。
ボトックスって本当に魔法のような薬剤ですね!ぜひ皆様も受けてみて下さい。
わからないことがあればお気軽にご相談にいらして下さいね。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
