Column

いぼについて

皆様こんにちは。
肌の青空クリニック院長の山内輝夫です。
本日はいぼについてお話していこうと思います。

いぼとは?

いぼとは、皮膚の上に突起した角質の小さな塊で、「疣贅」と言われ一般的にはウイルス性にできる尋常性疣贅のことを指します。
しかしながら、皮膚科の診療をしていると外来にいらした患者様の指すいぼの種類は実に多様で、様々な疾患と出会います。
おおよそ皆様がいぼと言ってご来院される、主な疾患を紹介していきます。

尋常性疣贅

本来いぼと言われるものはこちらの疾患を指します。
パボウイルス科のヒト乳頭腫ウイルス(human papilloma virus: HPV)が表皮細胞に感染して増殖し、盛り上がって表面が硬くざらざらとしたような病変を形成します。手や足の裏などに生じた経験がある方も少なくないのではないでしょうか。
このHPVは約150種のDNA型に分類され、その型によってはこの尋常性疣贅以外にも尖圭コンジローマと言われる陰部のいぼだったり、子宮頸癌の原因にもなるウイルスです。
治療法は保険診療の液体窒素を使用した冷凍凝固術が基本です。患部を液体窒素の-196℃に接することで凍らせ、再び常温に戻っていく急激な温度差によって感染した細胞を破壊していきます(キンキンに冷やしたお皿に熱湯をかけると壊れるのと一緒ですね)。ちょっと痛い上に、1~2週間に1回程度の頻度でしっかり治療を受けなければなかなか治りません・・・。その他メスを使用した切除やレーザーなどもありますが、再発に注意が必要です。ちなみに切除した際の病理組織を見ると、コイロサイトーシス(koilocytosis)といって少し空気で膨らんだような空胞細胞が、HPVに感染した細胞にみられます。
またマニアックな治療法では局所免疫療法(薬剤で患部をかぶれさせることによって自身の免疫で治す方法)やブレオマイシンという抗癌剤を使用した方法などがあります(難治性の病変もかなり効く印象ではありますが、現在では安全性面から提供している施設は少ないかと思います)。

脂漏性角化症

扁平にシミが膨らんだような褐色調のいぼがこちらになり、老人性のいぼとも言われます。
実際にシミ(老人性色素斑、日光黒子)から進化してできることが多いですが、厳密には毛穴からできる良性腫瘍です(ですので手の平や足の裏にはできません)。
余談ですがシミから進化して生じる際に、一部はそれを食い止めようと自己免疫が働き炎症を起こすことがあります。「シミのところが一時期膨らんでいたが、赤く痒くなって、また平らに戻った」というような経過を辿るのが典型的なものですが、こちらを医学的には扁平苔癬様角化症と言います。シミのような状態に戻っても炎症を起こした後のため、少し灰色っぽい色味をしています。こちらに通常のシミ取りのレーザーを照射してもあまり綺麗には取れず注意が必要なのですが、意外とこの扁平苔癬様角化症を見極められるドクターは少ないように思います。
話を戻して脂漏性角化症なのですが、尋常性疣贅とは違い比較的皮膚の表面への増殖傾向が強く、あまり深い病変にはなりづらい特徴があります。そのためレーザーなどできれいにとれやすく、病変によってはメスで表面を削いで取ってしまう方法なども有効です。
ただし、脂漏性角化症にもいくつかタイプがあるのですが、被刺激型(irritated type)と言われる引っ搔くなどの刺激を慢性的に受けてきたタイプは、少し深く浸潤していく傾向にありますので取るのが難しくなります。もし脂漏性角化症ができてしまった際には、あまり引っ搔いたりせずに、そっとしておきましょう。
治療法としては上記の他、尋常性疣贅と同様に液体窒素を使用した冷凍凝固術があげられます。少し皮膚への負担が大きいため、炎症による色素沈着のリスクが高いため、きれいに取りたいという方は自費診療にはなりますがレーザーや電気メスなどを使用した取り方が良いかと思います。

軟性線維腫

こちらは首や脇、鼠径部にできやすいいぼで、皮膚と同じ色から薄茶色っぽい色をしており、有茎性といって少し茎をもって垂れ下がっている特徴があります(皮膚の上でぴろんぴろんしています)。アクロコルドンやスキンタッグと呼ばれていたりもします。
加齢による影響が大きいですが、生じやすい部位からは擦れる刺激も原因の1つと言われております。
最近の研究では、脂漏性角化症と同じ遺伝子変異で生じることが判明しており、類縁疾患であることがわかりました。
治療はメスや電気メスでの切除やレーザーなどがあげられますが、小さいものであれば剪刀で根元からちょん切ってしまうのが、レーザーよりも熱の刺激が加わらない分、綺麗に治りやすいのでおすすめです。

色素性母斑

以前ほくろについてのコラムを書かせていただきましたが、ミーシャー型やウンナ型と言われるほくろも、盛り上がっているためいぼとしてご相談される患者様は多いです。
詳しくは以前のほくろのコラムをご参照いただけましたら幸いです。

脂腺増殖症

毛穴に脂腺と呼ばれる皮脂を作る工場のような組織がくっついているのですが、そちらの組織が増えてしまっているのが脂腺増殖症です。
顔面にできることが多く、白色~薄黄色で少しのっぺりとした形をしています。真ん中が少し凹んでいることもあります。
なぜできてしまうかは、まだ明確な理由がはっきりしていません。ステロイドの内服や癌の罹患が原因の1つとしてあるのではないかという報告があります。
治療としては、レーザーである程度表面を削ってから中の脂腺を鑷子で除去してあげると、きれいに治ることが多いです。液体窒素による冷凍凝固術も効く場合がありますが、やはり痕になるリスクがあります。
小さいものが多発している場合には、イソトレチノインの内服が有効なこともあります。本来であれば重症なニキビに使用する薬剤ですので、使用には慎重な判断が必要かと思います。

最後に

その他、稗粒腫、汗管腫、線維性丘疹、エクリン汗孔腫などが比較的外来で多くみるいぼにはなりますが、こちらはまた機会がありましたら解説していこうと思います。
皮膚の腫瘍は、上記以外にも山ほど存在します。
ほくろ取りのご相談で来られ、皮膚癌だったことも過去何回かあります。
全てのいぼを見た目だけで判断するのは難しいこともありますが、どのような性質の腫瘍なのかは、皮膚科を学んでいるドクターであればある程度想定することができます。
ダーモスコピーなどを使用して診察することがとても大事かと思います。
皆様も、しっかり診察してくれる皮膚科医に診てもらいましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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